ロゴデザインを学ぶなら知っておきたい!有名デザイナーたち 〜海外編〜
コラム 2022.03.22
普段何気なく目にしているロゴ。
そのロゴを作った人物(ロゴデザイナー)は一体誰なのか、意識したことはあるでしょうか?
誰もが知っているようなロゴを“実は世界的に有名なデザイナーが手掛けていた”ということもあるので、ロゴデザイナーを知ることはロゴデザインを学ぶことにも繋がってきます。
そこで今回は、2回に渡って海外と日本に分けて有名なデザイナーをご紹介。併せて、彼らのデザインしたロゴもご紹介します。
■目次
有名ロゴデザイナーを知っておくメリット
これからロゴデザインを学んでロゴデザイナーを目指そうとしている人の場合、「ロゴデザイナー」のことよりも「ロゴの作り方」の方が知りたいかもしれません。
ですがロゴデザイナーを知ることは、彼らがどのような目的でロゴをデザインしたり、どういった考えを軸にデザインしているのかなどを知るきっかけになる為、ロゴデザインを勉強する上で大きなメリットとなります。
有名ロゴデザイナーたちのロゴはデザインの参考やヒントとして大いに役立ちますが、それだけでなく、彼らのロゴを作る際の考え方も参考にして、ぜひロゴデザインの勉強に活かしてください。
海外の有名ロゴデザイナー
オトル・アイヒャー(Otl Aicher)
2021年には夏季オリンピック・パラリンピックの「東京2020」が、そして数日前までは冬季オリンピック・パラリンピックの「北京2022」が開催されていたので、ここ最近はオリンピック・パラリンピックの話題が絶えませんでしたね。
そこで、まずはオリンピックに関わりのあるデザイナーからご紹介していきしましょう。
オトル・アイヒャー(1922年3月13日 – 1991年9月1日)は、ドイツを代表するグラフィックデザイナー、タイポグラファー(書体デザイナー)です。
記事【オリンピックの“顔”、歴代エンブレムのデザインをまとめてお見せします!-前編-】でも少しご紹介していますが、アイヒャー氏は1972年のミュンヘン大会のエンブレムをデザインしました。
彼はオリンピックのビジュアルコンセプト委員会のディレクターも務めていたので、エンブレムだけでなく、ポスターや入場チケット・マニュアル・ユニフォーム等、大会に関わる様々なアイテムのデザインも手掛けました。
画像引用元:ミュンヘン1972オリンピックロゴ、ポスター&大会ルック
現在では、オリンピックに限らず、“大会やイベントなどのデザインはコンセプトを基に統一する”といったことが当たり前のように行われていますが、初めてそれをきっちりとコントロールして作り上げたのが彼でした。
また、彼は「ビジュアル・コミュニケーション・デザイン(視覚伝達デザイン)」の先駆者であり、ミュンヘン大会にて“図やイラスト、色や形を使って情報を伝えること”が有用であることも証明。
1964年東京大会で初めて使用された「ピクトグラム」を元にさらに洗練させ、ミュンヘン大会以降の「ピクトグラム」の基準を作りました。
ポール・ランド(Paul Rand)
ポール・ランド(1914年8月15日 – 1996年11月26日・本名はペレス・ローゼンバウム/Peretz Rosenbaum)は、アメリカ合衆国のグラフィックデザイナーで、様々な企業のロゴをデザインしたことで知られています。
彼がデザインした企業ロゴの中で、私たちにも馴染みがあって有名なものが「IBM」のロゴです。
1956年、彼は「IBM」の新しいロゴのデザインを手掛けましたが、当時発表されたロゴは現在のような横線の入っていないデザインのものでした。
その後手直しを加え、1972年に8本の線によって「IBM」のアルファベットが表現されたロゴを発表。以降、このデザインのロゴが長きに渡って使われ続けています。
画像引用元:IBM Archives: IBM continuity (1956-1972), IBM international recognition (1972- )
“長く使われ続けるロゴ”をデザインしたことは、彼のデザイン力の素晴らしさを物語っていますが、彼の功績はそれだけではありません。
その功績が、「コーポレート・アイデンティティ(CI)」です。
現在では、「CI」を導入している企業は数多くありますが、それを最初に行ったのがポール・ランドと言われています。
彼は「IBM」のロゴをリニューアルだけでなく、ポスターやマーケティング資料・備品などのデザインも手掛け、「IBM」のブランド構築に貢献したのです。
ところで、「目・蜂・M」が描かれたポスターを見た事はあるでしょうか?
画像引用元:IBM100 – Good Design Is Good Business
このポスターも、「CI」のひとつとしてポール・ランドによってデザインされたもので、「IBM」のモットー“THINK”を表したものとなっています。
※「CI」については、記事【ロゴデザインの今と昔1 〜デザインが変わる理由〜】で詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。
ソール・バス(Saul Bass)
ソール(またはソウル)・バス(1920年5月8日 – 1996年4月25日)は、アメリカ合衆国のグラフィックデザイナーです。
名前を聞いてもピンと来ない人が多いかもしれませんが、実は日本の企業ロゴ(シンボルマーク)デザインも多く手掛けている有名なデザイナーなのです。
例えば、「味の素(旧)」や「ミノルタ(現:コニカミノルタ)」、「紀文食品」「株式会社コーセー」「前田建設工業株式会社」など。
画像引用元:株式会社コーセー、株式会社紀文食品、前田建設工業株式会社
彼は企業ロゴだけではなく、映画のタイトルバック(映画の出だしの部分。テーマ音楽とともに題名やスタッフクレジットが流れ、作品の世界観を表現)も多く手掛け、“映画界のタイトルデザインの分野を確立した人物”と言われています。
次回は、日本の有名ロゴデザイナーをご紹介します。