学校に関わるロゴ、「校章」と「コミュニケーションマーク」
コラム 2022.02.22
ロゴと言うと、会社やお店・ブランドなどで使われているので、“企業などが使う特別なツール”といった印象を持っている方が多いのではないでしょうか。
実はロゴは、“ごく普通に使われるツール”として、私たちの身近に存在していたのです。
それが「校章」です。
「校章」は、幼稚園から小・中・高・大学と多くの学校で使われていて、学校におけるロゴの役割を持っています。
また、学校では「校章」とは別に、「コミュニケーションマーク」と呼ばれるロゴを使用する場合もあります。
今回は、私たちの身近にあるロゴ、「校章」と「コミュニケーションマーク」について解説します。
■目次
学校におけるロゴ、「校章」とは?
「校章」と言えば、ピンバッジの形で着用するものとして、多くの人にとって馴染みのあるものかと思います。
学校生活の中ではあまり意識したことが無かったかもしれませんが、「校章」はピンバッジ以外にも、校舎や校門などの学校施設、校旗・制服、学校が発行する賞状や卒業証書など、様々なところで使われているツールです。
それでは、「校章」がどのような点でロゴとしての役割を持っているのか解説していきましょう。
「校章」の役割
校訓の視覚化
多くの学校には、校訓(教育理念や方針)が制定されています。
そして多くの学校が、校訓を図案化したものを「校章」に採用しています。
校訓を図案化することは、記事【ブランディングに欠かせない、ロゴの役割と効果とは?】で解説した、“内部に与えるロゴの効果”と同じような効果があります。
「企業ロゴ」の多くは、企業理念やメッセージ、目標や目指すべきものなどがロゴのデザイン(色や形)に込められています。つまり、企業理念などをロゴという形で視覚化しているのです。
企業理念などが視覚化されると、内部の人々(社員やスタッフ、同志など)にとって目指すべきものが明確となり、行動や活動が行いやすくなります。
「校章」も「企業ロゴ」と同じで、校訓を「校章」によって視覚化することでその内容が生徒や教員に伝わりやすくなったり、理解しやすくなったりします。
そして、「校章」を通じて、校訓が生徒や教員の間に浸透していきやすくなるのです。
学校を識別する
会社やお店・ブランドなどは、ロゴという“目印”によって競合他社との差別化を図っています。
「校章」もロゴと同じように学校の“目印”となる為、学校を識別するツールとなっています。
学校対抗の競技などで、「校章」が印刷されたユニフォームや校旗を使用すれば「校章」が“目印”となるので、『どこの学校が参加しているのか』や、『どこの学校の選手か』などが分かりやすくなります。
帰属意識を高める
学校での集団生活を行う上でポイントとなるのは、“帰属意識”です。
集団生活では協調性や社会性などが求められますが、まずは“自身がその集団の一員である”という意識が必要になります。“集団の一員”という意識があるからこそ、協調性や社会性が身に付くのです。
そして、帰属意識を高めるツールとして効果的なのが「校章」です。
学校を象徴している「校章」を身に付けたり繰り返し目にすることで、“学校という集団の一員”という意識が高まるのです。
これは「企業ロゴ」でも同じで、名刺や社員証、会社の備品や社章などあらゆるところにロゴを使うことで、帰属意識を高める役割を担っています。
「校章」以外のロゴ、「コミュニケーションマーク」とは?
冒頭でも述べましたが、“学校におけるロゴ”は「校章」だけではありません。
近年は「コミュニケーションマーク」というものが作成され、「校章」とは違った役割のロゴとして使われています。
「コミュニケーションマーク」とは?
「コミュニケーションマーク」とは、コミュニケーションを活性化させたい相手と関係を深めたり、新たなイメージ作りの為に活用されるツールのことで、図案によって表現されています。
「コミュニケーションマーク」は学校だけで使われているものではなく、企業や自治体などでも積極的に活用されています。
画像引用元:
①東京都北区ポスティング.com | 東京都北区でのポスティングの為に区が制定した区の紋章・鳥・花・木を知ろう
②MITSUBISHI MOTORS | ニュースリリース | 「三菱自動車社会貢献STEP活動」の方針を改定 新たにコミュニケーションワード・ロゴマークも設定
③JAめまんべつ | コミュニケーションマークの紹介[JAめまんべつの概要]
④米久株式会社 | ニュース | 持続可能な未来へ向けて 環境コミュニケーションマーク「ecoにいいヨネ」
記事【形と色でこんなに変わる!ロゴが与えるイメージの話】で詳しく解説していますが、図案(ロゴ)は色や形によって様々なイメージを人に与えることができます。
「コミュニケーションマーク」はこのような図案の特性を活かして、コミュニケーションの活性化の為に活用されているのです。
学校における「コミュニケーションマーク」の役割
「校章」は、学校施設や制服など、生徒や教員に近いところで主に使用される為、“学校内部に向けて”の役割が大きくなります。
一方、「コミュニケーションマーク」は、主に学校の新たなイメージ作りの為に作成・活用されるので、「校章」に比べると“学校外部に向けて”の役割が大きいツールとなっています。
その為、学校案内のパンフレットや封筒などの学校外部向けのツールに「コミュニケーションマーク」を積極的に使用している学校もあります。
つまり「コミュニケーションマーク」は、広報ツールとしての役割が大きいのです。
「校章」と「コミュニケーションマーク」と「学校ロゴ」の関係
ここまでの解説で、「校章」も「コミュニケーションマーク」も“学校の正式なロゴとして使用されるものではない”といったイメージを持った方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
実は、「校章=学校ロゴ」もあれば、「コミュニケーションマーク=学校ロゴ」として使用される場合もあるのです。
例えば歴史が長い学校などの場合、長年使われ馴染みのある「校章」のデザインを、そのまま「学校ロゴ」のシンボルマークとして使用することがあります。
画像引用元:学校法人 金城学院 | 校章・校歌
一方、歴史が長い学校でも、「校章」は今までのデザインで残しつつ、学校の新しいイメージ作りの為に「コミュニケーションマーク」を作成し、それを「学校ロゴ」のシンボルマークに使用する場合もあります。
画像引用元:北海学園大学 | 校旗・校章・コミュニケーションマーク
「学校ロゴ」に、「校章」または「コミュニケーションマーク」のいずれを使うのかについては特に決まりはないので、それぞれの学校でイメージや目的によって使い分けています。
次回は「校章」のデザインについて、実例と共に詳しく解説していきます。