“国際交流”がテーマのロゴ、どう作る?
コラム 2022.01.25
ロゴは、会社やお店・ブランドの“顔”としてだけでなく、世の中の様々なところで“イメージを伝えやすくするもの”として使われています。
例えば“国際交流”といった活動を行う場合、単に活動名があるだけでは、今ひとつ活動内容や目的・活動のイメージが人々に伝わりにくいでしょう。
ですがロゴがあれば、ロゴのデザイン(色や形)を通じて活動内容や目的を人々に伝えやすくなるので、活動の輪を広げる事にも繋げられます。
※ロゴの色や形が人に与えるイメージについては、記事【形と色でこんなに変わる!ロゴが与えるイメージの話】で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
今回は、“国際交流”がテーマのロゴ実例を参考にしながら、ロゴを作る際のデザインのポイントなどを解説していきます。
尚、今回ご紹介する実例ロゴは、“周年を祝うロゴ”や“統一性のあるロゴ”としても参考になります。
“国際交流”がテーマのロゴだけでなく、これらのロゴを作ろうと考えている方も、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
■目次
“国際交流”ロゴのデザインのポイントとは?
「日本・南西アジア交流年」の為のロゴ
ロゴ作りのポイントを解説する前に、今回参考にするロゴ「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」について簡単にご紹介しておきましょう。
2022年、日本と交流のある南西アジア諸国(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブの7カ国)は、様々な周年を迎えます。
南西アジア諸国とのさらなる交流を深める為、日本は2022年を「日本・南西アジア交流年」とする事に決定。
そして「日本・南西アジア交流年」を盛り上げる為に、「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」を作る事となったのです。
「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」は公募によってデザインが決定したロゴで、ロゴデザイン募集の際の内容(募集要項)は下記のようなものでした。
※統一性のあるデザインを持つ以下8個のロゴを募集する
- 2022年日本・南西アジア交流年全体のロゴ
- 日・バングラデシュ友好関係のロゴ(外交関係樹立50周年)
- 日・ブータン友好関係のロゴ
- 日・インド友好関係のロゴ(外交関係樹立70周年)
- 日・モルディブ友好関係のロゴ(外交関係樹立55周年)
- 日・ネパール友好関係のロゴ
- 日・パキスタン友好関係のロゴ(外交関係樹立70周年)
- 日・スリランカ友好関係のロゴ(外交関係樹立70周年)
引用元:2022年「日本・南西アジア交流年」のロゴマーク募集-コンテスト 公募 コンペの[登竜門]
「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」は、南西アジア諸国と日本の交流を表す“1つ”のロゴではなく、下記の2つのポイントも含んでデザインされた“合計8個”で構成されたロゴとなっています。
- 南西アジア7カ国と日本の友好を示す個別のロゴ…先述の項目2〜8
- 周年を迎えるものには、その要素を入れたデザインにする…先述の項目2・4・5・7・8
それでは「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」を例に、国際交流・周年・統一性、それぞれのデザインの参考になるポイントを見ていきましょう。
2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク
まずは、「2022年日本・南西アジア交流年ロゴマーク」のデザインを見てみましょう。
画像引用元:外務省 | 2022年日本・南西アジア交流年ロゴマークの決定
「日本・南西アジア交流年」を表す際に使用する“全体ロゴ”が1個と、南西アジア諸国と日本の“個別のロゴ”が7個、合計8個のロゴとなっています。
国際交流デザインの参考ポイント
“国旗”を使う
参考ロゴのうち、「全体ロゴ」のシンボルマークにデザインされている“向かい合った折り紙の鳥”に注目してみましょう。日本と南西アジア7カ国全ての“国旗”が折り紙の鳥の翼部分にデザインされていて、日本と南西アジア7カ国が友好関係にある事を表しています。
“国際交流”がテーマで、特に特定の国々との交流をデザインで表す場合は、参考ロゴように“国旗”をモチーフに使う事で人々に“国際交流”のイメージを伝えやすくなります。
国旗は、オリンピックやFIFAワールドカップのような世界的なスポーツ大会や国際的な会議の場で掲揚されていたり、幼稚園や小学校の運動会で万国旗が飾られていたりと、何となく目にする機会が多いですよね。
その為、国旗は多くの人にとって“国を象徴するモチーフ”として、認識しやすいものとなっています。
そして、国旗を2つ並べたり、参考ロゴのように1つと複数を並べる事で、「並んだ国旗の国々は友好関係にあり、交流が盛んである」というメッセージを分かりやすく人々に伝える事ができるのです。
“友情を表すモチーフ”を使う
参考ロゴのシンボルマークには“折り紙の鳥”がデザインされていますが、この鳥は“ハト”がモチーフとなっています。
ハトと言えば“平和の象徴”として有名ですが、“友情”を表す際にも使用されます。
その為、参考ロゴのようにハトを向かい合わせに配置する事で、より分かりやすく“友好関係にある”というメッセージを人々に伝える事ができます。
そして参考ロゴでは、ハトが“折り紙”で表現されている事もデザインのポイントとなっています。
ハトを折り紙で表現する事で“日本”を感じさせるだけでなく、折り紙の直線的なシルエットによって、ハトの翼が国旗に置き換わっても違和感の無いデザインになっています。
もしハトが手描きのようなシルエットだった場合、翼が国旗に置き換わった際に違和感を持ってしまう(取って付けたように見えてしまう)でしょう。
周年デザインの参考ポイント
“お祝いのイメージカラー”を使う
ロゴデザインで“周年”っぽさを出す為には、“お祝いのモチーフ”を使うか、“お祝いのイメージカラー”を使う(または両方を使う)といった方法が多く使われます。
参考ロゴの場合は、“お祝いのイメージカラー”の代表的な色である「赤」が多く使われていますね。
赤色が人に与えるイメージには、「お祝い」以外に「活発」もあるので、“国同士の交流が盛んな様子”を表現する際にもちょうど良い色です。
また、参考ロゴの場合は、カラフルな国旗のモチーフとそのカラフルさにも負けない色味の「赤」が使われているので、ロゴの中で国旗だけが目立つ事なく全体にまとまりのあるデザインとなっています。
“周年の数字”を目立たせる
周年ロゴは、“◯◯周年を迎えた”という事をアピールする為のロゴなので、周年の数字が目立つようにデザインされる場合が多いです。
参考ロゴの場合は、周年や交流年の数字が折り紙ハトに合わせて、折り紙のような数字になっていますね。
折り紙風の数字はシンプルなデザインで派手さはありませんが、折り目の陰影によって数字のインパクトが増している為、視線が向きやすく、印象も残りやすくなっています。
また、ロゴが縮小されても数字のデザインが潰れず、印象が保たれるデザインになっているのも参考ポイントです。
“目立たせよう”として装飾を派手にしすぎると、ロゴを縮小した際にデザインが潰れてしまって視認性が落ちてしまいます。「目立たせる=装飾を派手にすれば良い」という事ではありません。
※ロゴの“避けた方が良いデザイン”については、記事【成功ばかりじゃない!ロゴの「失敗実例」】にて解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。
ちなみに、折り紙風のロゴタイプは赤いリボンのようにも見えるので、“お祝いのリボン”っぽくも感じられるデザインになっているのも良いですね。
統一性デザインの参考ポイント
「シンボルマーク」のシルエットをなるべく揃える
複数のロゴを統一性のあるデザインにするには、シンボルマークのシルエット(形)をなるべく揃えると良いでしょう。
参考ロゴの場合は“向かい合った折り紙ハト”と“円弧に配置された英文”、2つの要素でシンボルマークのシルエットが揃えられています。
向かい合った折り紙ハトは翼の国旗を変えてロゴのバリエーションを作っていますが、国旗のほとんどが長方形で形が揃っているので、それぞれのシンボルマークで大きなシルエットの変化はありません。
シンボルマークに書かれた英文はそれぞれのロゴで内容が違っていますが、円弧の曲線に沿って配置されているシルエットがどれも同じなので、こちらもロゴによって大きな変化は感じられません。
多少のデザインの違いはあっても、大まかなシルエットが同じであれば、統一性のあるロゴに見せる事ができるのです。
特徴的な「ロゴタイプ」を使う
参考ロゴでは、周年や交流年の数字が特徴的な折り紙風のデザインになっている事を先述しました。
普通のフォントを使うのではなく、ロゴの為にデザインされた文字「ロゴタイプ」を使う事は、統一性のあるロゴに見せるポイントにもなります。
ロゴによって周年や交流年の数字が違ったり表記されている内容が違っている場合、文字の配置や文字量がそれぞれで違う為、統一性を出すのはなかなか難しいです。
ですが、特徴的なロゴタイプを使えばその部分のデザインに視線が向きやすくなり、多少の文字の配置や文字量の違いがあってもロゴ同士の共通点を感じやすくなるのです。
“国際交流”をテーマにしたロゴの作りのポイントは、ここでご紹介した以外にも色々あります。
次回は、様々な“国際交流”がテーマのロゴ実例を参考にしながら、さらにデザインのポイントをご紹介します。