ロゴデザインの今と昔2 〜有名企業のロゴの歴史〜

コラム 2021.03.16

前回の記事では、ロゴデザインの変化には“時代背景”が関係している事について、解説しました。

 

今回は、有名企業の“ロゴデザインの変化の歴史”を、実例と共にご紹介します。

 

 

 

 

 

ロゴの変化の歴史実例

 

株式会社ニコン

ニコンロゴの歴史

画像引用元:株式会社ニコン | ブランドシンボル

 

光学機器メーカーの「株式会社ニコン」は、創業時は「日本光学工業株式会社」という社名でした。

“ニコン”という名称は、1946年に名称が決まった開発中の小型カメラ「Nikon(ニコン)」が元になっています。

 

社名が「ニコン」になったのは1988年なのですが、1968年の時点ですでに「Nikon」が使われていますね。

このロゴの原型は、1956年頃から使われていたそうですが、1959年に発売された「ニコンF」が、国内のみならず海外でも大反響があった為、知名度を優先して「Nikon」を使っていたのではないかと思われます。

 

ちなみに1968年のロゴは、1964年東京オリンピックのポスターデザインを手掛けたグラフィックデザイナー・亀倉 雄策(かめくら ゆうさく)氏によって改良されたデザインが採用されたもので、1988年のロゴも亀倉氏が手掛けています。

2003年に変更された現行のブランドシンボルは、1988年のロゴに“光のイメージ”を取り入れたデザインにしているとの事で、“光学機器メーカーらしさ”が出ていますね。

 

 

 

江崎グリコ株式会社

グリコロゴの歴史

画像引用元:江崎グリコ株式会社 | グリコの歴史

 

両手を上げてゴールする姿“ゴールインマーク”のパッケージが印象的な栄養菓子「グリコ」ですが、このデザインは、1922年の発売当初からずっと採用されていました。

 

当初はかなりリアルな男性の描写になっていましたが、近年になるにつれてシンプルに、若々しく親しみやすいデザインに変わってきていますね。

 

ちょうど「CI」が日本に入ってきた年代でもある1971年のデザインから、江崎グリコ株式会社の企業理念「おいしさと健康」が添えられた“スローガン入りのデザイン”となっています。

ただし、英語による表記は、1971年は「GOOD TASTE AND GOOD HEALTH」でしたが、1992年からは「A WHOLESOME LIFE IN THE BEST OF TASTE」に変更されています。

 

英語による表記の場合は特に、言葉(単語)の選び方によって伝わるニュアンスも変わってくるので、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

 

 

 

ネスレ

ネスレロゴの歴史

画像引用元:ネスレ日本 | ロゴの歴史

 

「ネスレ」はスイスに本社がある、世界最大の食品・飲料会社です。

 

鳥の親子が描かれたこのロゴは、創業者アンリ・ネスレが家紋をアレンジして考案したデザインとの事。

“自ら開発した乳児用シリアルを偽物から守る”という意味が込められていて、「nestle」はドイツ語で「鳥の巣」の意味です。

 

こちらのロゴも、近年になるにつれてシンプルなデザインに変わっていますね。

 

1995年から2015年のデザイン変更は、パッと見た感じあまり違いが無いように見えますが、“スマートフォンなどのデジタル機器でも読みやすいよう、よりソフトなデザインに変更した”との事。

 

スマートフォンの保有率は近年急激に伸びていて、「レスポンシブ・ロゴ」※という考え方も出てきたくらいに“小さな画面サイズでも視認性の落ちないロゴ”というのが重視されています。

今後はネスレのように、スマートフォンでの表示を優先させたデザインへの変更が多くなるかもしれません

 

※「レスポンシブ・ロゴ」については、記事【ロゴデザインの新しい考え方!「レスポンシブ・ロゴ」とは?】で詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。

 

 

 

三菱電機株式会社

三菱ロゴの歴史

画像引用元:三菱電機株式会社 | コーポレートロゴの歴史

 

「三菱電機株式会社」は日本の大手総合電機メーカーで、1921年、三菱造船(現三菱重工)より分離独立する形で設立されました。

 

1955年のロゴは「御手洗(みたらし)流」と呼ばれる書体で、古い会社のロゴといった雰囲気ですが、1964年にはガラリとデザインを変更していますね。

「今日もあなたと共に」のスローガンは、“消費者に親しまれるイメージの確立”の為に制定したとの事

 

その後も、国内用には「未来を開発する三菱電機」、「技術がつくる高度なふれあい SOCIO -TECH」、海外用には「ADVANCED AND EVER ADVANCING」と、ロゴにスローガンが添えられ、“現在、三菱電機がどういう企業理念を掲げているのか”というのが消費者に明確になっています。

 

近年のデザイン変更では、国内・海外で使い分けていたスローガンを「Changes for the Better(より良きものへの変革)」に統一し、ロゴデザインも“スリーダイヤ”(三菱マーク)を使用したものに統一。

 

国内用としては久しぶりにスリーダイヤが“復活”した形ですが、シンプルなロゴタイプだけのデザインよりも、印象的なシンボルマークがある方が、ロゴとしてのインパクトが強く感じられますね。

 

 

 

象印マホービン株式会社

象印ロゴの歴史

画像引用元:象印マホービン株式会社 | 公式Twitter,ZOJIRUSHIオーナーサービス

 

「象印マホービン株式会社」は、魔法瓶を中心に、炊飯器や電気ポットなどの調理器具の製造販売を行う企業で、ロゴにはその名の通り“象”が描かれています。

 

象をシンボルマークにした理由は、下記のように語られています。

 

●象は子どもたちにも人気があり、寿命が長く家族愛も強い
●主な輸出先である東南アジアでも、象は親しまれ神聖視されていた

 

こちらの象も最初はリアルな描写でしたが、近年になるにつれてシンプルで可愛らしいデザインに変わっています。

 

ところが、社名にもしている“象印”が、1986年のロゴでは消えてしまいました。

 

それまでのロゴで、“象のマーク=魔法瓶”というイメージが定着したのは良かったのですが、この当時は電気製品の方が増えた事もあり、“(象のマーク=魔法瓶という)ブランドイメージを一新する為に象のマークを外した”との事。

事業展開の内容によっては、シンボルマークが企業のイメージを“邪魔”してしまう事もあるのです。

 

しかしその後、時代の流れから“やさしさ”や“あたたかさ”のイメージを発信していく為に、象のマークが“復活”しました。

復活した象のマークは、それまでの象と同じように可愛らしさはありつつも、時代に合わせてスッキリとシンプルで洗練された印象になっていますね。

 

 

 

並べて見比べると、時代に合わせてロゴデザインが変更されているのがよく分かりますね。

 

近年の企業ロゴのリニューアルは、デザイナーでないと気付かないくらい微細な変更を加えている場合が多いので、「変える必要あるのかな?」と感じる方がいるかもしれません。

 

しかし、変更されたデザインがたとえ微細なものであっても、実はロゴを見る側は、無意識のうちに変化を感じ取っています。

そしてその微細な変化から、企業に対するイメージや印象にも変化を及ぼしているのです。

 

意外に思われるかもしれませんが、細部まで拘ってロゴをデザインするのはとても重要な事で、たとえ微細であっても場合によっては“変える必要がある”のです。

 

 

ロゴのデザインがどのようなイメージを与えるのかについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

 

【形と色でこんなに変わる!ロゴが与えるイメージの話】

【ロゴデザインのリニューアルについて、有名企業の実例と共にご紹介します!】

【成功ばかりじゃない!ロゴの「失敗実例」】

 

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