アフターコロナを見据えた動き「プレイス・ブランディング」とは?

コラム 2020.12.29

新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらない中、政府は2020年12月14日に「GoToトラベルキャンペーン」を全国一斉に一時停止する事を決定。

そして、12月28日から「GoToトラベルキャンペーン」が停止となりました。

 

夏から始まった「GoToトラベルキャンペーン」により、少しずつ観光需要が戻りつつあったので、この度の政府の決定に肩を落とした観光業界の方、観光に関わる業界の方は数多くいたことでしょう。

 

実は今、コロナ禍によって、地域ブランディングの新しい考え方に注目が集まっています。

今回は、アフターコロナを見据えた地域ブランディングの新しい考え方、「プレイス・ブランディング」について、ご紹介します。

 

 

 

 

 

「プレイス・ブランディング」とは?

日本地図のイメージ

「プレイス・ブランディング」という言葉を聞いた事はあるでしょうか?

同じようなブランディングとして「地域ブランディング」がありますが、こちらの言葉の方が馴染みがあるかもしれませんね。

似ているようで違う定義の「プレイス・ブランディング」と「地域ブランディング」。まずは、その違いを解説いたします。

 

 

地域ブランディングとプレイス・ブランディングの違い

「地域ブランディング」地域限定の特産品や、ご当地グルメなどをブランディングする際に使われる事が多い言葉です。

 

「地域ブランディング」の成功実例としては、『今治タオル』(愛媛県今治市)や『宇都宮餃子』(栃木県宇都宮市)などが挙げられます。

実例から分かるように、「地域ブランディング」は“特定の地域”で“地域限定の特産品”のブランディングを行うことから、ブランディング活動に関わるのも、一部の企業やお店などに限定されている場合が多いです。

 

対して「プレイス・ブランディング」は、その名前の通り“場所をブランディングする”という考え方です。

 

この“場所”というのは、“新しく意味づけされた場所”を指していて、市町村という単位に限らない範囲を指して使われます。

「プレイス・ブランディング」は、特定の商品だけをブランディングする訳ではないので、企業や行政、市民…と、関わる人の規模や立場も様々で、「地域ブランディング」に比べ、いくらでも裾野を広げる事が可能です。

 

「プレイス・ブランディング」の代表的な成功実例として、「瀬戸内」があります。

「瀬戸内」といえば、「レモン(瀬戸内レモン)」「アート(直島)」「サイクリングの聖地(しまなみ街道)」などなど…色々なモノ・コトが思い浮かぶと思います。

瀬戸内に面する7県(香川・愛媛・徳島・岡山・広島・兵庫・山口)は、それまでバラバラにブランディングを行っていたモノ・コトを「瀬戸内」という一つのブランドとして推進する為に連携を取り、見事「プレイス・ブランディング」に成功したのです。

瀬戸内のイメージ

 

 

プレイス・ブランディングと企業ブランディングの違い

“ブランディング”といえば、企業のブランディングもありますね。

では次に、「プレイス・ブランディング」と「企業ブランディング」の違いについても解説しておきましょう。

 

「プレイス・ブランディング」と「企業ブランディング」の大きな違いは、ブランディングを行う“目的”にあります。

 

「プレイス・ブランディング」の目的は、“場所”の活性化です。

“場所”のブランディングが上手くいけば、観光客を呼び込んだり、特産品ブランドの価値が上がる事で“利益”にも繋がりますが、それだけではありません。そこに住む人々が“場所”への愛着が増す事でまちづくりへの参加意識が高まったり、他地域からの移住や企業誘致の促進などにも繋げられるので、“場所”全体が活性化されるのです。

 

一方「企業ブランディング」の主な目的は“利益”です。

企業にとって、利益を得られなければ会社を存続させられません。

そして、会社存続の為には、同業他社との差別化を行わなければいけません。

ユーザーが同業他社を選んでしまっては利益に繋げる事が出来ないので、ユーザーが同業他社を選択しないよう、“自社を選んでもらう為”にブランディングを行う必要があるのです。

 

前述の「地域ブランディング」は「企業ブランディング」と同じ“利益”が目的のブランディング活動ですが、大きな括りで見ると「プレイス・ブランディング」の一部でもあります。

プレイス・ブランディングと地域ブランディングのイメージ

 

 

プレイス・ブランディングの必要性

記事の冒頭でも記述した、コロナ禍によって「プレイス・ブランディング」が注目されているとは、一体どういう事でしょうか?

次はその辺りについて、解説していきます。

 

観光客の“旅行の目的”に変化

外国人旅行客のイメージ

コロナ禍以前、日本の観光業界は、訪日外国人観光客によってはじめ大きな経済効果がもたらされていました。観光客向けにそこまでPRしなくても、観光地にはどんどん人が訪れる…まさに“嬉しい悲鳴”な状態でした。

 

しかし、その訪日外国人観光客に少しずつ変化が現れます。

それまでの訪日の目的が“モノ消費”(買い物)だったのに対し、“コト消費”(体験)を重視するように変わり、訪日の目的地も、代表的な観光地から地方都市へ向かう人が増えていったのです。

 

しかし、観光客の“コト消費”は、訪日外国人に限った事ではありません。

日本人の国内消費の傾向も、“コト消費”に変わってきています。

 

そこで必要となってくるのが、「プレイス・ブランディング」です。

大きな経済効果を生み出す訪日外国人観光客だけでなく、日本人観光客に対しても“ここを訪れたい”と思わせる“コト”が無ければ、他の地へと向かってしまい、観光客を逃してしまいます。

 

 

アフターコロナを見据えた動き

コロナ禍以前から、日本の各地で「プレイス・ブランディング」の動きは起こっていました。

そんな中、コロナ禍によって世界的に海外渡航が禁止、または制限がかかり、訪日外国人観光客が激減。国内旅行も緊急事態宣言や自粛ムードで激減し、観光業界とそれに関わる業界は大きな経済的ダメージを受けました。

「GoToトラベルキャンペーン」があるとはいえ、この経済的ダメージは、並大抵の対策で補えるものではないでしょう。

そこで必要なのが、アフターコロナになった時に、“いかに早く観光客を呼び戻す、または新たに呼び込むか”です。

旅行者のイメージ

 

「アフターコロナになって、自由に旅行できるようになったら、あそこに行きたいな…」

観光客にそう思ってもらえるよう、今のうちから観光客を呼び込む対策に取り組んでおく必要がある為、「プレイス・ブランディング」が注目されているのです。

 

 

 

ブランディングではロゴが重要に!

ブランディングの活動の中で、重要な役割を持つのが「ロゴ」です。

※ロゴの役割は、記事【ブランディングに欠かせない、ロゴの役割と効果とは?】で詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

 

そのロゴが、「プレイス・ブランディング」でも使われているのはご存知でしょうか?

ブランディングを行う際、伝えたい魅力や特徴など…言葉(キャッチコピー)だけで伝えようとすると、なかなか多くを伝えきれませんよね。

そこで、言葉だけでは伝えきれない部分を補う為に、ロゴが活用されます。

 

 

次回は「プレイス・ブランディング」の活動実例と共に、どのようなロゴが使われているのかをご紹介します。

 

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