漫画のタイトルロゴ1 〜制作の流れとロゴの特徴〜
コラム 2020.12.15
「ロゴ」と言えば、会社やお店・ブランドのロゴを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ですが、ロゴが使われているのは会社やお店だけではありません。
あまり意識して見る事が無いかもしれませんが、「漫画」や「アニメ」の作品タイトルにも、ロゴは使われています。
今回は、会社やお店などの「一般的なロゴ」とは少し違った特徴を持つ「漫画タイトルロゴ」について、2回に渡ってご紹介いたします。
「漫画タイトルロゴ」を作っているのは?
作品のイメージにピッタリ合うようにデザインされた「漫画タイトルロゴ」。
ロゴを作っているのは、作品の事をよく分かっている漫画家自身でしょうか…?
実はほとんどの「漫画タイトルロゴ」は、漫画家ではなく、デザイナーによって作られています。
例えば、漫画原作でアニメも超人気作品となった『鬼滅の刃』のタイトルロゴも、作者の
吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)氏ではなく、デザイン会社のデザイナーによって作られています。
では、「漫画タイトルロゴ」がどのような流れによって作られるのか、簡単にご紹介しましょう。
「漫画タイトルロゴ」制作の流れ
「漫画タイトルロゴ」制作の流れは、下記のようになります。
STEP1-デザイナーによるロゴ案の提出
STEP2-ロゴ案を漫画家・担当編集者が確認し、ロゴデザインの方向性の決定
STEP3-漫画家・担当編集者によるロゴデザインの要望や修正指示
STEP4-要望・修正を反映したロゴデザインをデザイナーが提出
(漫画家・担当編集者より要望や修正の追加があれば、工程数が増える)
STEP5-ロゴデザインの決定
「漫画タイトルロゴは、一般的なロゴの制作の流れとは違うのかな…?」と思っていた方もいたかもしれませんが、実はほとんど変わりません。
制作の流れとしては変わらないのですが、「漫画タイトルロゴ」と「一般的なロゴ」では大きく違うところがあります。
では、次はその“違い”について解説いたします。
「漫画タイトルロゴ」と「一般的なロゴ」の違いとは?
ロゴの役割の違い
“ロゴは会社の顔”という言葉を、聞いた事がある方は多いでしょう。
ロゴというツールはそう言われるほど、会社やお店・ブランドのイメージを象徴する重要な役割を持っているのです。
※ロゴの役割については、記事【ブランディングに欠かせない、ロゴの役割と効果とは?】や、【ロゴの価値とは?ロゴの役割と必要性から詳しく解説します!】で詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
では、「漫画タイトルロゴ」の場合はどうでしょうか?
「漫画タイトルロゴ」は、作品のイメージに合うようにデザインされていますが、“漫画の顔”という訳ではありません。
“漫画の顔”となるのは、漫画家の描くイラストです。
では、タイトルロゴの役割とは何でしょうか?
「漫画タイトルロゴ」は単に“作品名をデザインしたもの”ではなく、読者に対して作品の雰囲気をより分かりやすく伝え、印象に残りやすくする役割を持っているので、“作品のサポート役”とも言えます。
デザインの違い
一般的なロゴは、先述した“ロゴは会社の顔”という役割を持つことから、下記のような特徴があります。
・ターゲットの目に留まりやすいデザイン
・企業理念や社風、コンセプトを表したデザイン
・同業他社と差別化できるようなデザイン
つまり、“ロゴだけでデザインが完結している”のです。
一方「漫画タイトルロゴ」の場合は、先述したように“漫画の顔”ではないので、一般的なロゴとは少し違った特徴を持っています。
・漫画の世界観やジャンル、漫画家の絵柄に合わせたデザイン
・ロゴの色やデザインは、場合によって多少変更することがある
「漫画タイトルロゴ」は漫画家の描く扉絵やイラストと実際に合わせた時に、“イラストの一部”として違和感の無いデザインである必要があります。
ですので、“ロゴ単体で見た時のデザインの良し悪し”よりも、“イラストと合わせた時のデザインの良し悪し”が重視されます。
また、一般的なロゴの場合、一度デザインを決めると“リニューアル”しない限りはデザイン変更をしませんが、「漫画タイトルロゴ」の場合はデザインを変更する事があるのです。
タイトルロゴでよくあるのが、「色」の変更です。
一般的なロゴの場合、デザインに使われる色には何かしらの意味を持たせている為、“ロゴを使う状況によって、あれこれ色を変更する”という事はありません。
※ロゴに使われる色については、記事【ロゴデザインを引き立てる!色の持つ効果】や【形と色でこんなに変わる!ロゴが与えるイメージの話】で詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。
しかし「漫画タイトルロゴ」の場合、基本となるタイトルロゴの色はもちろんあるのですが、それが扉絵やイラストに合わせた際に“違和感を感じる”や“悪目立ちする”といった場合は、扉絵やイラストに合う色に変更します。
例えばコミックスの表紙デザインで、単行本ごとにタイトルロゴの色が変えられている事がよくありますよね。
これはコミックスの表紙に使われるイラストの色味や、描かれているキャラクターの雰囲気に合わせてタイトルロゴの色を変更しているからです。
【タイトルカラーが「ピンク」のままでは、コミックス2巻のイラストを合わない】
イラストAC:イラスト素材「男女」
【イラストに合わせてタイトルカラーを変えると、雰囲気が合うようになった】
さて、プロの漫画家の場合はデザイナーに依頼してタイトルロゴを作る事ができますが、プロを目指していたり、趣味で漫画を描いている人の場合、デザイナーにロゴを依頼するのは費用面でハードルが高いので「何とか自分で作れないかな…」と思っている方が少なからずいるのではないでしょうか?
次回はそんな方の為に、漫画タイトル風のロゴを作る手順を、コツを交えながらご紹介いたします。