コロナ禍を乗り越えるための活動〜サービス編〜
コラム 2020.09.15
前回の記事では、コロナ禍を乗り越える活動の中で、「ロゴ」に注目してご紹介しました。
今回も同じテーマで、「サービス」に注目してご紹介します。
コロナ禍によるサービスの変化
個人飲食店の新たなサービスの提供
新型コロナウイルス感染拡大防止対策として有効とされる事のひとつが、“人との接触を減らす事”です。
2020年4月に緊急事態宣言が発令され、“人との接触を減らす事”として外出自粛等の要請があった為、飲食店や様々なサービス業は経済的に大きなダメージを受けました。
そこで飲食店では、コロナ禍を乗り越える為の「サービスの変化」が現れました。
それが、「テイクアウト」と「デリバリー」です。
元々これらのサービスを提供していた飲食チェーン店はありますが、個人経営のようなお店は店内飲食のみで営業していたところがほとんどです。
コロナ禍においては外出自粛や時短営業要請などの影響で、店内飲食のみで経営を続けていく事は難しく、新たに「テイクアウト」や「デリバリー」に対応する事で少しでも売り上げを伸ばし、コロナ禍を乗り越えようとする飲食店が次々と登場しました。
この飲食店での動きと同時に、経済的にダメージを受けた飲食店を応援しようとする活動も始まりました。テイクアウト&デリバリーを行っている飲食店に対して自治体が補助金を出したり、店舗情報を取りまとめてWebサイトで公開するなど、積極的な飲食店の利用を推奨したのです。
サービスの“基準”に変化
飲食店のサービスについて、もうひとつ大きな変化がありました。
それが新型コロナウイルス感染症対策の実施です。
感染症対策は飲食店に限らず様々なサービス業でも共通していますが、飲食店では特に“新型コロナウイルスに感染しやすい条件”が揃いやすくなっている為、対策が必須となりました。
利用者にとってもコロナ禍以降、お店が感染症対策をとっているか・いないかが「お店を選ぶ基準」になっています。どんなに美味しい料理を提供したり接客サービスが良かったとしても、きちんとした感染症対策をとっていなければ、利用者は安心してお店を訪れる事ができません。
感染症対策が、“新しいサービスのひとつ”となっているのです。
さて、実はこの感染症対策でも「ロゴマーク」が活用されていますが、ご存知でしょうか?
感染防止対策をきちんと行っている事を利用者に知らせる為に、自治体が認可したお店に対して「ステッカー」を発行しているのです。
・自治体に申請・取得してから貼り出す為、利用者に安心感を与えられる
・統一されたデザインの為、利用者の目に留まりやすい
いくらお店で感染症対策を行っていても、各店舗が独自に張り紙を掲示しているだけでは、なかなか利用者の目には留まらないでしょう。
しかし、統一された「ステッカー」が店頭に貼り出されていれば感染症対策を行っているお店だという事がすぐに分かる為、利用者は安心してお店を選べるのです。
新しいサービスの形、異業種からの生産参入
コロナ禍で非常に混乱を招いたのが、「使い捨て(不織布)マスク」や「消毒用アルコール」などの不足です。
これらが手に入らない事で、人々は余計に不安になり、更なる混乱を招く…といった負の連鎖が起こっていました。
そんな中、様々な企業から新たな活動が始まりました。“異業種からの生産参入”です。
中でも注目を集めたのは、「SHARP(シャープ)」によるマスク生産の参入です。
「家電メーカーがマスク生産?」と、不思議に思われた方も多かったのではないでしょうか。
マスクの生産は政府からの要請ではありましたが、シャープの親会社である台湾・鴻海精密工業が、中国の新型コロナウイルスの広がりを受けてマスク生産に参入していた為にマスク生産のノウハウを持っていた事と、精密機器を生産する為のクリーンルームを保有している事が、スピーディなマスク生産参入へと繋がりました。
また、高知県「菊水酒造株式会社」による“消毒用アルコールと同じ度数のお酒”の製造開始も話題になりましたね。
深刻な消毒用アルコールの不足を受けて、急遽商品化されたこのお酒。
病院などでこのお酒を“消毒用アルコール”として使用する事は、厚生労働省でも「臨時的・特例的な対応」として認めています。
“消毒用として使う事もできる”というだけで、本来は飲料用のお酒。ほんのりレモンの風味が付けられているので、普通にお酒として楽しめます。
画像引用元 | 菊水酒造株式会社 高濃度のスピリッツ「アルコール77」を製造開始
マスクに関してはその後、衣料メーカーなどが「布マスク」の生産・販売を開始するなど、異業種からの生産参入が相次いでいます。
コロナ禍では、設備やノウハウなどを活かした異業種からの生産参入が多く見られました。
どの企業も、「コロナ禍を乗り越える為に、少しでも社会貢献したい」という思いのもと、それぞれの持つ強みを活かした新たなサービスを提供する為に奮闘しています。
“異業種からの生産参入”は企業にとって、思いがけず新しいサービス展開へ向けた、良いきっかけとなったのではないでしょうか。
コロナ禍の終息には、まだまだ時間がかかる事が予想されます。
先の見えない状況が続きますが、少しでも早く終息を迎える為には「新しい生活様式」など、ひとりひとりが今すぐできる活動を実施していく事が重要でしょう。