ロゴで啓発活動!新型コロナウイルス感染拡大防止をロゴで呼びかける動き
コラム 2020.04.14
なかなか治まる気配が見えない、新型コロナウイルスの感染拡大。
日本では2020年4月7日、ついに緊急事態宣言が発令されました。
そんな中、ウイルスの感染拡大を防止する為に、世界的に“とある活動”が呼びかけられているのはご存知でしょうか?
その活動とは、「ソーシャルディスタンス(SocialDistance=社会的距離)」※。
感染リスクを低減させる為に、“人との距離を取ろう”という取り組みです。
※「ソーシャルディスタンス」は、人との距離をおよそ2メートル保つことを推奨しています。
そして「ソーシャルディスタンス」の活動を推進させる為、有名企業がロゴデザインを変更。ロゴを使った、世界中の人々への呼びかけが話題になっています。
今回は、ロゴを使った「ソーシャルディスタンス」の啓発活動について解説いたします。
■目次
有名企業の「ソーシャルディスタンス」ロゴ
まずは、有名企業が発表した「ソーシャルディスタンス」のロゴを、いくつかご紹介します。
McDonald’s
画像引用元:McDonald’s Facebook
アメリカに本社を置くファーストフードチェーンストア「マクドナルド」と言えば、「ゴールデンアーチ(黄金のM型アーチ)」のシンボルマークですね。
ブラジルのマクドナルドでは、この「ゴールデンアーチ」を分断したロゴをFacebookやTwitterなどに掲載し、「ソーシャルディスタンス」を呼びかけました。
Volkswagen
画像引用元:Volkswagen Twitter
ドイツに本社を置く自動車製造会社「フォルクスワーゲン」も、上下に並んだ「V」と「W」の間を空けて「ソーシャルディスタンス」を呼びかけています。
Audi
画像引用元:Audi Japan Twitter
「フォーシルバーリングス」のエンブレムが象徴的な、フォルクスワーゲングループに属しているドイツの自動車メーカー「アウディ」。本来は重なり合っている「フォーシルバーリンングス」が、“適切な距離”を保った配置に変更され、「ソーシャルディスタンス」を呼びかけています。
Mercedes-Benz
画像引用元:Mercedes-Benz Facebook
ドイツの「Daimler(ダイムラー)」が所有する乗用車、商用車のブランド、「メルセデス・ベンツ」。
「ベンツ」と言えば、「スリーポインテッド・スター」のエンブレムが有名ですね。
本来はスターの先端が円に接していますが、「ソーシャルディスタンス」を呼びかける為に、円から離れたデザインに変わっています。
海外だけでなく、日本でも「ソーシャルディスタンス」の活動に賛同する動きがあります。
オリックス・バッファローズ
画像引用元:オリックス・バッファローズ Twitter
プロ野球球団「オリックス・バッファローズ」では、本来はぎゅっと寄っているロゴタイプが等間隔に空いたデザインになっています。
FC東京
画像引用元:FC東京 Twitter
日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」の「FC東京」も、「ソーシャルディスタンス」を呼びかける動画をTwitterに投稿しています。
有名企業のロゴだからこその「効果」
ロゴを「間を空けたデザイン」に変更することで「ソーシャルディスタンス」を呼びかけていますが、この方法には有名企業だからこそ期待できる「効果」があります。
話題性があるので、認知されやすい
有名企業の「ロゴが変わる」というのはそれだけで話題性があるので、すぐにニュースやSNSなどで取り上げられます。
多くのニュースやSNSで取り上げられると、ユーザーの目に触れる機会も多くなり、認知されやすくなります。また、話題性の高さから、情報が拡散されるスピードも速くなります。
今回の複数の有名企業のロゴの変更は様々なところで話題となり、「ソーシャルディスタンス」という活動を、速く・広く呼びかけるのに非常に有効な手段となりました。
ロゴによって視覚的に伝わる「ソーシャルディスタンス」
「ソーシャルディスタンス」は、“人との距離を取ること”と先述しましたね。
“人との距離を取る”ということは言葉でも説明できますが、それをロゴで表現することに大きなメリットがあります。
脳には「絵(図形)は記憶に残りやすい」という性質があるので、「視覚的に伝える」ことによって人々に覚えてもらいやすくなります。
ですので、ロゴによって“人との距離を取る”というメッセージを伝えることは、人々に記憶してもらうのに有効な方法なのです。
また、有名企業のロゴは、多くの人々が「元のデザイン」を記憶しているでしょう。
誰もが知っているロゴが元になっているからこそ、デザインの変化=距離を取ろうというメッセージ自体も記憶に残りやすくなります。
見慣れたロゴによる認知度の違い
例えば、「ソーシャルディスタンス」の啓発活動の為に、“新しいロゴ”を作ったとします。
“新しいロゴ”というものはそもそも、広く認知されるまである程度の時間を必要とします。
しかし、ウイルス感染拡大を防ぐ為には、速く・広く「ソーシャルディスタンス」を呼びかけなくてはいけないので、認知されるまで悠長に待っていられません。
一方、有名企業のロゴは、すでに広く認知されています。
また、認知されているからこそ、人々の「目に留まりやすい」という性質があります。
新しいロゴを作るよりも、すでに認知されているロゴに変化を加えた方が、人々に認知されやすく目に留めてもらいやすいのです。
「リニューアル」ではない、ロゴデザインの変更
ロゴのデザインは、理由無く変更されることはありません。
企業体制が変わったり、何か新しいことが始まる場合に、ユーザーに速く・分かりやすく伝える手段のひとつとして、ロゴデザインが変わること(リニューアル)があります。
ですが今回のロゴデザインの変更は、ウイルス感染拡大の危機的状況がきっかけです。
つまり、「よほどの理由が無い限り変更されないロゴデザインを、変更するほどの事態が起きている」と言えます。
有名企業が動いていることからも、事態の深刻さは想像できます。
デザインというものは、時に言葉とはまた違ったインパクトを人々に伝えることが出来るのです。
「ソーシャルディスタンス」ロゴのメリット・デメリット
有名企業のロゴ変更により、「ソーシャルディスタンス」の活動は日本でも広まってきています。
「ソーシャルディスタンス」の活動に賛同し、ロゴを変更することには、企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ロゴを変えるメリット
ロゴを「ソーシャルディスタンス」のデザインに変更することは、“企業自体も一丸となってウイルス感染拡大防止に努めている”という意思表示になります。
ウイルス感染拡大防止は誰もが努めていることなので、「わざわざロゴで表さなくても良いんじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。
ですが、企業がそういった取り組みをしていると示すことは、ブランディングの上で非常に重要です。
これまでは認知度が低かった企業でも、この活動をきっかけに認知度が上がったところもあったでしょう。
ロゴによる「ソーシャルディスタンス」の呼びかけは、企業の取り組みを示すだけでなく、「ユーザーに安心を提供できる企業」という印象も与えることができます。
ロゴの変更により、“「ソーシャルディスタンス」の活動に賛同した企業”として好意的なイメージが人々の記憶に残る為、あえて意思表示することは無駄ではないのです。
ロゴを変えるデメリット
「ソーシャルディスタンス」の活動に賛同すること自体は良いことなのですが、実はデメリットがあります。
本来のロゴより認知される可能性
「ソーシャルディスタンス」の活動がきっかけで認知度が上がった場合、本来のロゴよりも「ソーシャルディスタンス」のロゴの認知度の方が上がってしまう可能性があります。
先にご紹介した有名企業は、いずれも「元のロゴデザイン」を知っている方がほとんどでしょう。しかし、「ソーシャルディスタンス」の活動を通じて初めて知った企業の場合はどうでしょうか?
本来のロゴが認知されていなければ、「ソーシャルディスタンス」で変更したロゴの方が人々の記憶に残ってしまう可能性があります。
特に、中途半端に「間を空けたデザイン」にしてしまうと、「元々そういうデザインなのかな?」と受け取られかねません。
先述したように、脳には「絵(図形)は記憶に残りやすい」という性質があります。
本来のデザインでは無いロゴを記憶されない為にも、WebサイトやSNSで使用するロゴまでも「ソーシャルディスタンス」のロゴに変えてしまうのではなく、特設のWebページや呼びかけの投稿といった「一時的な部分での使用」に留めた方が良いでしょう。
啓発活動なのに、批判的な意見が出る?
「ソーシャルディスタンス」のロゴに変更することに関して、実は否定的な意見も出ています。
それはなぜでしょうか?
ウイルスの感染拡大は人命や人々の生活へ深刻な影響を及ぼしている為、世間にはこれまでに無い、ピリピリとした空気が流れています。その為、「ソーシャルディスタンス」の啓発活動でロゴを変更することに対して「ふざけている」と受け取る人も少なからずいるのです。
本来であれば好意的に捉えられるような活動への賛同も、反感を買う場合もあることは考慮しておかなくてはいけません。
ロゴによる「ソーシャルディスタンス」の啓発活動は、単に“人との距離を取ろう”ということを伝えるだけではありません。
ここで紹介した有名企業はみな、“物理的な距離は取っていても、気持ちはあなた(ユーザー)の側にある”というメッセージも込めて、人々に発信しています。
ロゴは「会社の顔」だけでなく、コミュニケーションツールとしての役割※も持っているので、今回のような「人々への呼びかけ」にも活用できるのです。
※ロゴの役割については、記事【ロゴの価値とは?ロゴの役割と必要性から詳しく解説します!】にて詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。