デザイナーにも「コミュニケーション力」が必要なワケとは?
コラム 2020.06.23
「デザイナーは、“デザインだけ”出来れば良い」と思っている、デザイナー志望の方はどれくらいいるでしょうか?
デザインが出来ることはもちろん重要なのですが、それだけではデザイナーとしての仕事は全う出来ません。
デザイナーが、デザインが出来る以外に必要な事…それは、「コミュニケーション力」です。
「コミュニケーション力」は、ビジネスの現場では重要視されていますが、「デザイナーにも必要」といったイメージを持っている方は少ないかと思います。
デザイナーと言えば、独り黙々とデザインを考えて…といったイメージがあるかもしれませんが、意外と他者とのコミュニケーションが必要となる場面が多い職業なのです。
今回は、なぜデザイナーにも「コミュニケーション力」が必要なのかについて、詳しく解説いたします。
デザイナーに「コミュニケーション力」が必要なワケ
「デザイナー」と「アーティスト」の違い
デザイナーに「コミュニケーション力」が必要な理由を解説するには、デザイナーとよく似た職業・アーティスト(芸術家)と比較してみるのが分かりやすいでしょう。
デザイナーという職業について、アーティスト(芸術家)と同じようなイメージを持っている方は多いかと思います。
どちらの職業も“何かを作り出す”仕事なので、あまり違いが無いと感じるかもしれませんが、両者には明確な違いがあります。
それは、「制作の目的」です。
デザイナーは、依頼主から「○○のデザインをしてほしい」といった依頼を受けて、制作活動を行います。
デザイナーが制作活動を行うのは、「デザインの力を使って、依頼主が抱えている問題や課題を解決する」のが目的です。
例えば、依頼主に「集客をしたい」という問題があった場合、デザインで解決する方法としては「チラシやポスター、Webサイトを作る」というのがありますね。
他に、「ブランディングしたい」となれば「ロゴを作る」、「商品を良く見せたい」となれば「パッケージを作る」…など。
デザイナーが制作活動を行うのは、あくまで依頼主の問題・課題を解決する為。「デザイナー自身が好きなモノを作る為」ではありません。
一方アーティストは、時には依頼を受けて制作を行う事もありますが、基本的に「自己表現」が制作の目的です。
アーティスト自身が感じた事を「何かしらの形にする」のが制作の目的なので、制作に際して基本的には依頼主はおらず、依頼主の要望に応える必要もありません。
以上のように、デザイナーとアーティストとでは「制作の目的」に違いがあるのですが、それに関係してもうひとつ、両者で違うのが「他者とのコミュニケーションの有無」です。
デザイナーの場合、依頼主を始めとする他者とのコミュニケーション無しには、制作が出来ません。
対してアーティストは、他者とのコミュニケーションに関係無く、制作を行う事が出来ます。
デザイナーの仕事は「コミュニケーション」だらけ!?
デザイナーにとって「コミュニケーション力」が必要なワケが、何と無く見えてきたでしょうか?
では次に、仕事上のどんな場面でコミュニケーションが必要になってくるのかを見ていきましょう。
デザイナーが依頼を受けると、依頼主がどのような要望を持っているのか、ヒアリングを行います。
ヒアリングを元に制作がスタート。デザイン案が出来れば、依頼主に確認をします。
依頼主から修正指示や追加で要望が出れば、それに合わせてデザインを変更。再び依頼主に確認…修正…確認…
何度かの修正・確認を経て、依頼主のOKが出てようやくデザインが完成。
…と、デザインが完成するまで、常にコミュニケーションが欠かせません。
これがフリーランスのデザイナーの場合、依頼主と1対1となるので、コミュニケーションの場面はまだ少なくて済むかもしれません。しかし、会社に所属しているデザイナーの場合はどうでしょうか?
担当営業やディレクターとのコミュニケーションはもちろん、大きなプロジェクトに携わる事になれば、それに関わる多くのスタッフとコミュニケーションを取らなければいけなくなります。
「連絡や確認するくらいなら、そんなにコミュニケーション力がいらないのでは?」と思われるかもしれませんが、デザイナーに必要な「コミュニケーション力」とは、連絡や確認といった事務的な事ではありません。
ヒアリングやデザイン提案の際に、デザイン制作をスムーズに進める為の「コミュニケーション力」が必要になってくるのです。
“伝わる”デザインを作らなければいけない
「デザインをする」というのは、「デザインの力を使って、依頼主が抱えている問題や課題を解決する」事だと先述しましたね。
依頼主の問題・課題を解決する為には、集客したければ集客できるようなデザインを、ブランディングしたければブランディングできるようなデザインを作らなければいけません。
ここで間違えてはいけないのが、依頼主がどんなに「カッコいいデザインが出来た。良かった」と満足したとしても、それが問題・課題を解決するデザインになっていなければ意味が無いという事です。
依頼主が問題を解決したい先には、必ず「ターゲット」や「ユーザー」がいます。
そして、そのターゲットやユーザーに“伝わる”デザインを作らなければ、依頼主の抱える問題を解決する事は出来ません。
実はここで、コミュニケーションが必要になってきます。
ターゲットやユーザーに
- 何を伝えたいのか(宣伝、性能、認知など)
- 何をしてほしいのか(購入、参加など)
デザインの力を使って、上記のような依頼主の様々な要望をターゲットやユーザーに伝えなければいけないのです。ですので、デザインするという事は、ターゲットやユーザーとコミュニケーションを取る事でもあるのです。
※デザインによってターゲットやユーザーとコミュニケーションを取れる事については、記事【ロゴの価値とは?ロゴの役割と必要性から詳しく解説します!】でもご紹介しています。ぜひ、併せてご覧ください。
デザイナーに「コミュニケーション力」が必要なワケは、お分かりいただけたでしょうか?
次回は、デザイナーに必要な「コミュニケーション力」について解説いたします。